固定した役割分担
イオン=幅、超伝導=速度、光=全部
方式名だけで勝ち負けが決まる
量子競争マップ続編 6続編 7 · 更新 2026.09.15
図を上から追うだけで骨格が通るように書いた。イオンは低負担の幅を処理量へ変える。超伝導は速い局所を広い系でも維持する。中性原子は大きな配列と少ない手数を、止まらない計算へ変える。光は全系の低損失 FT が成立したあと、供給と接続で伸ばす。2030 年は届ける競争、2035 年は同じ仕事の時間と費用、2040 年は増設しても破綻しない設計。7 章 24 セクション・24 枚の図。
投資助言ではありません。2026.09.15 の整理。確認済み/公式目標/サイト見立て/未確認に分けています。ロードマップの数値は各社の目標であり、実測ではありません。2030 年の倍率や株価は付けません。
分析判断。各方式の出発点の強みは残す。完成した計算機の万能ランキングではない。
THREE LEVERS幅・深さ・速さは、別の機械
第1章
量子ビットを増やせば、答えも速く、計算も深くなるのか。
幅・深さ・速さは別の機械。速さの時計は四つ。工程を揃えると差は残り、工程を減らすと縮みうる。所要時間はいちばん遅い制約。データ幅と工場は別口座。深さは誤り予算。
01三つのレバー
サイト見立て
分析判断。各方式の出発点の強みは残す。完成した計算機の万能ランキングではない。
分析判断。各方式の出発点の強みは残す。完成した計算機の万能ランキングではない。
02四つの時計
確認済み
226 µs と 60 ns の比は約 3,800 倍だが、これは裸の物理操作の例の比。Rigetti が IonQ より計算を 3,800 倍速く終える証拠ではない。
続編 1 · 幅・深さ・速さ・コスト226 µs と 60 ns の比は約 3,800 倍だが、これは裸の物理操作の例の比。Rigetti が IonQ より計算を 3,800 倍速く終える証拠ではない。
03残る差/縮む差
サイト見立て
Beverland らの 2022 年の共通モデルは教材であり、現在の IonQ や IBM の性能予測ではない。QuEra 関連研究の 4 ms は、その深い論理計算で達成済みの数字ではない。
Beverland et al. arXiv:2211.07629Beverland らの 2022 年の共通モデルは教材であり、現在の IonQ や IBM の性能予測ではない。QuEra 関連研究の 4 ms は、その深い論理計算で達成済みの数字ではない。
04いちばん遅い制約
サイト見立て
十分な重ね合わせ実行ができる場合の下限。全機共通の正確な性能式ではない。準備・復号・読み出し・再実行を加える。
Walking Cat arXiv:2604.19481十分な重ね合わせ実行ができる場合の下限。全機共通の正確な性能式ではない。準備・復号・読み出し・再実行を加える。
05データと工場
サイト見立て
設計上の特定手順の集計。実機の達成値ではない。数千物理ビットの例を、将来の 200 万物理ビット機の総処理量として延長しない。
Walking Cat の記事設計上の特定手順の集計。実機の達成値ではない。数千物理ビットの例を、将来の 200 万物理ビット機の総処理量として延長しない。
06深さの予算
サイト見立て
成功確率 ≈ exp(−Np) は桁を読む教材。会社の製品仕様を評価する式ではない。実機では操作別・待機・相関誤りを含むモデルへ置き換える。
| p | N(99% 目安) |
|---|---|
| 10⁻⁶ | 約 1 万 |
| 10⁻⁹ | 約 1,000 万 |
| 10⁻¹² | 約 100 億 |
成功確率 ≈ exp(−Np) は桁を読む教材。会社の製品仕様を評価する式ではない。実機では操作別・待機・相関誤りを含むモデルへ置き換える。
第2章
IonQ は、幅・深さ・速さをどう伸ばすのか。
一列にイオンを並べるだけではない。多ゾーン・搬送・電子制御・CMOS・工場。電子制御はレーザー不要ではない。高精度×接続×冷却を独立に掛けない。Quantinuum は同じイオンで、少ない幅の品質競争。
07イオンの機械
サイト見立て
電子制御ゲートは、先行 QCCD の輸送・冷却負担を基に回路時間の 1 桁超改善の余地を述べる。『Superion の 98〜99% が無駄』『冷却が完全不要』という実測ではない。ナノ秒級の大量並列ゲートを投資の前提に置く証拠はない。
電子制御ゲート arXiv:2510.17286電子制御ゲートは、先行 QCCD の輸送・冷却負担を基に回路時間の 1 桁超改善の余地を述べる。『Superion の 98〜99% が無駄』『冷却が完全不要』という実測ではない。ナノ秒級の大量並列ゲートを投資の前提に置く証拠はない。
08IonQ の梯子
公式目標
2026 年 9 月 8 日の Superion 発表が確認するのは、256 向けチップの製造と最初のイオン捕獲。全 256 ビットの FT 性能の実証ではない。10K は Walking Cat を動かす最初の世代とされる。『Logical error state』を他社の論理ゲート誤りへ無条件に読み替えない。
IonQ Quantum Computing Roadmap2026 年 9 月 8 日の Superion 発表が確認するのは、256 向けチップの製造と最初のイオン捕獲。全 256 ビットの FT 性能の実証ではない。10K は Walking Cat を動かす最初の世代とされる。『Logical error state』を他社の論理ゲート誤りへ無条件に読み替えない。
09工場で 10 倍
サイト見立て
1 億 T の供給時間下限は、それぞれ 100 日と約 9.5 日。実際は依存関係でさらに長くなる場合がある。順番待ちの工程は工場では消せない。
Walking Cat Tables 1, 5–8, 111 億 T の供給時間下限は、それぞれ 100 日と約 9.5 日。実際は依存関係でさらに長くなる場合がある。順番待ちの工程は工場では消せない。
10Quantinuum を先に
確認済み
少数ビットの実験であり、大規模 FTQC の完成ではない。少ない公称数でも、対象顧客の問題が収まり、品質・時間・価格で勝てば受注できる。2035 年の光より先に、同じイオンを点検する。
Helix プレプリント arXiv:2609.03194少数ビットの実験であり、大規模 FTQC の完成ではない。少ない公称数でも、対象顧客の問題が収まり、品質・時間・価格で勝てば受注できる。2035 年の光より先に、同じイオンを点検する。
第3章
ゲートが数千倍速ければ、計算も数千倍速いのか。
短い訂正周期の証拠は強い。幅はチップレットとモジュールと冷却セルで伸ばす。境界・接続口・復号が遅いと待つ。Willow の 1.1 µs を IBM の将来論理命令に流用しない。問いは『いつ 8 万論理か』ではない。
11超伝導の機械
サイト見立て
別の冷凍機へ移るたびにマイクロ波と光の変換が必須になるわけではない。IBM は低温トンネル内のケーブルで隣接冷却セルを結ぶ設計を公表し、2026 年 8 月に 2 セルの連結運転を報告した。光変換は特に長距離・室温光ファイバーの課題。
IBM — モジュール低温(2026.08.19)別の冷凍機へ移るたびにマイクロ波と光の変換が必須になるわけではない。IBM は低温トンネル内のケーブルで隣接冷却セルを結ぶ設計を公表し、2026 年 8 月に 2 セルの連結運転を報告した。光変換は特に長距離・室温光ファイバーの課題。
121.1 µs の意味
確認済み
原子系の公開された QEC 周期例(数 ms)に対し、約 4,000〜6,000 倍短い。符号・物理品質・目標論理誤り・実験と設計が異なるため、比率は桁感を示すだけ。Google の高速 QEC を IBM の将来 qLDPC 命令時間として流用しない。
Nature — Willow below threshold原子系の公開された QEC 周期例(数 ms)に対し、約 4,000〜6,000 倍短い。符号・物理品質・目標論理誤り・実験と設計が異なるため、比率は桁感を示すだけ。Google の高速 QEC を IBM の将来 qLDPC 命令時間として流用しない。
13足りる仕事
公式目標
IBM の会社目標は、Starling 2029 年 200 論理・1 億総ゲート、Blue Jay 2033 年以降 2,000 論理・10 億総ゲート。総ゲート数は深さそのものではない。全ての演算を一定秒数で終える仕様でもない。
IBM Quantum RoadmapIBM の会社目標は、Starling 2029 年 200 論理・1 億総ゲート、Blue Jay 2033 年以降 2,000 論理・10 億総ゲート。総ゲート数は深さそのものではない。全ての演算を一定秒数で終える仕様でもない。
第4章
原子がたくさん並ぶなら、もう幅は足りているのか。
捕まえた原子の数は、使えるデータ論理数ではない。横断演算は周期が遅くても工程を減らせる。測定・再配置・補充が実効速度を決める。QuEra は初期からの幅の競合。深い計算の観測点は、原子を補いながらの連続運転。
14中性原子の機械
サイト見立て
高速な少数ビット方式として超伝導と同じ箱に入れるのは適切でない。『どこへでも動かせる』は『どこへでも無料で一瞬に動かせる』ではない。校正済み経路は、移動回数が増えても再現性と品質を得る交換条件。
Nature — 中性原子 FT アーキテクチャ高速な少数ビット方式として超伝導と同じ箱に入れるのは適切でない。『どこへでも動かせる』は『どこへでも無料で一瞬に動かせる』ではない。校正済み経路は、移動回数が増えても再現性と品質を得る交換条件。
15三つの時間
確認済み
横断演算は、対応する原子へ一斉に操作し、論理演算の手数を減らす考え方。1 巡が遅くても、必要な工程数を減らせれば全体の差を縮められる。物理パルスが 270 ns でも、測定・再配置が遅ければ全体は待つ。
Nature Methods: Processor clock speed横断演算は、対応する原子へ一斉に操作し、論理演算の手数を減らす考え方。1 巡が遅くても、必要な工程数を減らせれば全体の差を縮められる。物理パルスが 270 ns でも、測定・再配置が遅ければ全体は待つ。
16初期からの幅
公式目標
IonQ の 800〜1,600 論理の目標期と近く、初期から幅の競争が起きる可能性がある。両社の論理数は同一品質・同一補助込みではない。Atom Computing は計算中に失った原子を補いながら反復訂正する運転を調べている。
QuEra Libra 発表(2026.06.15)IonQ の 800〜1,600 論理の目標期と近く、初期から幅の競争が起きる可能性がある。両社の論理数は同一品質・同一補助込みではない。Atom Computing は計算中に失った原子を補いながら反復訂正する運転を調べている。
17光の機械
確認済み
PsiQuantum は単一光子・fusion-based と商用製造。Xanadu は GKP と qLDPC。どちらも部品の高忠実度や量産工程が、そのまま全系の FT 演算を証明するものではない。PsiQuantum の主要な忠実度指標は光子損失を除いている。
続編 4 · フォトニック量子コンピュータPsiQuantum は単一光子・fusion-based と商用製造。Xanadu は GKP と qLDPC。どちらも部品の高忠実度や量産工程が、そのまま全系の FT 演算を証明するものではない。PsiQuantum の主要な忠実度指標は光子損失を除いている。
18融合して前へ
サイト見立て
『同じ光子が最後まで生き残る確率』を損失率の累乗で計算して全体の限界とするのは誤り。一方、各段階の損失が閾値内に収まること、高品質な入力状態、検出器・制御の費用は不可欠。現時点の公開資料から『2035 年に何万論理を何 MHz で動かす』と同条件の数値は作れない。
Fusion-based QC(Nature Communications)『同じ光子が最後まで生き残る確率』を損失率の累乗で計算して全体の限界とするのは誤り。一方、各段階の損失が閾値内に収まること、高品質な入力状態、検出器・制御の費用は不可欠。現時点の公開資料から『2035 年に何万論理を何 MHz で動かす』と同条件の数値は作れない。
19三つの並列
サイト見立て
普通の LAN で 100 台つないだだけでは、1 台のデータ論理幅は 100 倍にならない。3 番目には、もつれの供給、整形、論理操作、復号、同期、待ち時間が入る。
Distributed QC across an optical link普通の LAN で 100 台つないだだけでは、1 台のデータ論理幅は 100 倍にならない。3 番目には、もつれの供給、整形、論理操作、復号、同期、待ち時間が入る。
20遠隔の税
サイト見立て
企業仕様ではない教材。独立した遠隔資源を前もって作れば一部を隠せるが、使いたい接続が混雑すればさらに待つ。良い質問は『何台つながったか』ではなく、遠隔論理の遅延・同時リンク数・訂正後もつれの毎秒供給量・混雑・接続に割く物理資源。
企業仕様ではない教材。独立した遠隔資源を前もって作れば一部を隠せるが、使いたい接続が混雑すればさらに待つ。良い質問は『何台つながったか』ではなく、遠隔論理の遅延・同時リンク数・訂正後もつれの毎秒供給量・混雑・接続に割く物理資源。
第7章
IonQ に賭けるなら、何年に何を見るのか。
公表目標を同じ年表に置くが、個数順ランキングにはしない。2030 年は届ける。2035 年は同じ仕事の時間と費用。2040 年は増設しても破綻しない設計。実効スケールは公称数ではなく、データ幅・動かす速さ・成功率・費用。年ではなく証拠で更新する。
21同じ年表
公式目標
IonQ の 2030 目標は公称で 25 物理/論理。これが任意の処理量と品質で使えるデータ用ビットの比かどうかは、装置の全資源割当が必要。現在の小型構成の比率を 200 万物理へ延長しない。公称数の倍率を科学力・企業価値の倍率にしない。
IonQ RoadmapIonQ の 2030 目標は公称で 25 物理/論理。これが任意の処理量と品質で使えるデータ用ビットの比かどうかは、装置の全資源割当が必要。現在の小型構成の比率を 200 万物理へ延長しない。公称数の倍率を科学力・企業価値の倍率にしない。
22どのくらい伸びるか
サイト見立て
統計的な到達確率ではない。IonQ の 2030 年 80,000 論理や、光の短期間での低損失・高品質化は大きな統合飛躍を伴う。達成を保証するか、全く非現実的と決めるかの二択にしない。
統計的な到達確率ではない。IonQ の 2030 年 80,000 論理や、光の短期間での低損失・高品質化は大きな統合飛躍を伴う。達成を保証するか、全く非現実的と決めるかの二択にしない。
23三つの時点
サイト見立て
複数方式を古典側のソフトウェアで使い分ける計算基盤は、合理的な中心シナリオ。異なる方式の QPU を常時一つの巨大な量子状態として高速に協調させる構想は、別の挑戦。『異種 QPU を同じデータセンターに置く』ことから自動的には進まない。
複数方式を古典側のソフトウェアで使い分ける計算基盤は、合理的な中心シナリオ。異なる方式の QPU を常時一つの巨大な量子状態として高速に協調させる構想は、別の挑戦。『異種 QPU を同じデータセンターに置く』ことから自動的には進まない。
24観測表
サイト見立て
技術比較だけで現在の株価や適正保有比率は決まらない。『速い方式があるから IonQ の長期投資は必ず間違い』も、『論理数が最多だから長期で必ず勝つ』も、どちらも適切ではない。
続編 5 · IonQ の競争力技術比較だけで現在の株価や適正保有比率は決まらない。『速い方式があるから IonQ の長期投資は必ず間違い』も、『論理数が最多だから長期で必ず勝つ』も、どちらも適切ではない。
—14 の結論
サイト見立て
妥当な姿勢は『速い方式があるから見切る』ことでも『論理数が最多だから必ず勝つ』ことでもない。
幅・深さ・速さは、方式ごとに別の機械で伸びる。覚えておく順番
イオンは幅を処理量へ変える。超伝導は速さを維持したまま幅を広げる。中性原子は大きな配列と少ない手数を、止まらない計算へ変える。光は低損失の論理計算を成立させ、その後の供給量と接続を伸ばす。本記事の中心命題
—主張の境界
ロードマップの数値は各社の目標。同条件の論理命令時間・ジョブ完了時間が全社分そろっているわけではない。
—一次情報
リンク先の内容が更新された場合は、本記事の記述より一次情報を優先してください。分析基準日は 2026 年 9 月 15 日。
編集方針
測った量の意味を変えない。物理ゲート時間を完成機の速さにしない。IonQ に強気でも忠誠心は持たない。空欄を推定で埋めない。精密な成功確率は、母集団がない限り付けない。
編集方針・免責事項