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量子競争マップ続編 4続編 5 · 更新 2026.09.12

IonQの競争力を、完全に理解する。
独走は前提にしない。幅・深さ・速さ、論理ビットの段階、実証と目標を同じ机に置く。

図を上から追うだけで骨格が通るように書いた。IonQ は有力候補として残す。しかし公開証拠から「市場支配が最も自然」とは言えない。Quantinuum・IBM・Google・QuEra が違う方向から有望な計算を取りに来る。比較軸は論理個数ではなく、入るか(幅)→続くか(誤りと深さ)→いつ終わるか(速さ)→いくらか→利益は誰に残るか。7 章 26 セクション・22 枚の図。

投資助言ではありません。2026.09.12 の比較研究を、確認済み/公式目標/サイト見立て/未確認に分けて整理しています。ロードマップの数値は各社の目標であり、実測ではありません。10 倍・100 倍の精密な成功確率は付けません。

独走仮説を、外す。サイト見立て仮説の修正

分析基準日は 2026 年 9 月 12 日。10 倍の確率 20〜30%、100 倍の確率 1〜3% といった精密な数字は、母集団も売上分布も示されていないため採用しない。条件を逆算し、証拠で仮説を変える。

HYPOTHESIS SHIFT独走仮説を外し、用途別の相対性能へ

目次

7章 · 26セクション初見なら、この12枚だけで骨格が通る

結論を先に直す

  1. 仮説の修正★独走仮説を外し、用途別の相対性能へ
  2. 監視優先度★最優先は Quantinuum・IBM・Google・QuEra
  3. 3 つの読み違えQBI・製造・論理個数を混ぜない

何を比べれば、強さが分かるか

  1. 幅・深さ・速さ★机・段数・複数の時計
  2. 論理ビットの 5 段階★検出 → 訂正保存 → 論理演算 → 普遍 → 商用
  3. エラー率の読み方★exp(−N×p)。10⁻⁶ × 100 万 ≒ 成功 37%
  4. ポストセレクション工場で捨てるのと、計算をやり直すのは別

IonQ を、同じ厳しさで点検する

  1. Superion 256 の内訳★製造+捕獲 ≠ 全体の論理計算
  2. 公式ロードマップ800 → 1,600 → 8,000 → 80,000 は目標
  3. 同じ 110 論理で 10 倍★机の数ではなく、工場の配分が処理量を変える
  4. 本当に残る関門多数を同時に動かしても、速度と精度が同時に保つか

最優先の 4 方向

  1. Quantinuum Helix★選別なしの論理 Clifford。最も直接の競合
  2. IBM Starling★200 論理 × 1 億ゲート。幅不足は速さで埋まらない
  3. Google Willow100 万周期の記憶 ≠ 100 万回の有用演算
  4. QuEra 448並べやすさではなく、論理操作の構成要素

条件付きの数字と、実証の台帳

  1. 条件付きの 4 数字検出条件・縮尺模型・素子・パリティ寿命
  2. 実証台帳★各実験が確かめた能力と、まだ言えないこと
  3. 目標の横並び個数順に並べない。符号と精度が違う
  4. QBI は入口Stage の速さ ≠ 技術の優劣

用途で読み替え、製造で独占しない

  1. A 機と B 機★1,000 論理・10 時間 vs 200 論理・1 時間
  2. 仕事の形で有利が変わる深い短い幅、広い幅、特化シミュレーション
  3. 製造は唯一の道ではない内製の速さ vs 外部 fab の物量

10 倍・100 倍と、評価を変える条件

  1. 10 倍と 100 倍の逆算★希薄化と必要年商、市場規模との整合
  2. 評価を変える条件統合データ・完了時間・製造・需要・財務
  3. 主役以外Quantum Art、cat qubit、シリコン、上場銘柄
  4. 14 の結論独走を前提にせず、用途ごとの相対性能を検証する
主張する
有力。独走は前提にしない。幅・深さ・速さ・費用で見る。
主張しない
独走確定ではない。個数順にしない。精密確率は付けない。
まだ未確認
統合機の論理データ。閾値突破。歩留まりと原価。

第1章

結論を先に直す

IonQ は有力か。独走は、いまも最も自然な帰結か。

有力候補としては残す。しかし公開証拠から「市場支配が最も自然」とは言えない。投資仮説は「IonQ だけが論理ビットを大量に増やせる」から、「複数の方式が実用化に近づくなかで、用途別の性能と採算で有力な地位を取れる」へ直す。監視の順位は技術順位でも株価予測でもない。

01仮説の修正

サイト見立て

IonQ は大規模な量子コンピューティング企業になる可能性を十分に残している。しかし『市場支配が最も自然な帰結』とは、いまの公開証拠からは言えない。

分析基準日は 2026 年 9 月 12 日。10 倍の確率 20〜30%、100 倍の確率 1〜3% といった精密な数字は、母集団も売上分布も示されていないため採用しない。条件を逆算し、証拠で仮説を変える。

独走仮説を、外す。サイト見立て仮説の修正

分析基準日は 2026 年 9 月 12 日。10 倍の確率 20〜30%、100 倍の確率 1〜3% といった精密な数字は、母集団も売上分布も示されていないため採用しない。条件を逆算し、証拠で仮説を変える。

02監視優先度

サイト見立て

監視の順位は、IONQ 投資に対する優先度という分析判断である。将来の技術順位、売上順位、株価上昇率の予測ではない。

最優先は Quantinuum(同じイオン)、IBM / Google(少なくても深く速い)、QuEra(幅と並列)。高優先は Atom。条件付きで大きな破壊力は PsiQuantum / Xanadu / Diraq。Microsoft 独自は独立した大きな不確実性。

監視の順番。優勝劣敗表ではない。サイト見立て監視優先度

最優先は Quantinuum(同じイオン)、IBM / Google(少なくても深く速い)、QuEra(幅と並列)。高優先は Atom。条件付きで大きな破壊力は PsiQuantum / Xanadu / Diraq。Microsoft 独自は独立した大きな不確実性。

033 つの読み違え

サイト見立て

QBI の段階を企業の優劣とせず、Superion の製造実績を完成機の計算性能と混同せず、各社の論理ビット数を同一品質の商品数のように扱わない。

この 3 点を直すだけで、IonQ 独走という印象はかなり弱まる。

  • 混ぜないQBI の段階が進んだ会社が、技術でも勝っている

    直すQBI は入口と外部検証の軸。開始時期が違い、勝者選抜大会ではない

  • 混ぜないSuperion のチップ製造と捕獲は、256 ビット機の計算性能

    直す製造・統合の前進。全体の並列精度・論理演算・長時間稼働は別

  • 混ぜない各社の『論理量子ビット数』は、同じ品質の商品数

    直す符号・保護・作業ビット/補助の内訳が違う。個数順に並べない

第2章

何を比べれば、強さが分かるか

量子ビット数でも、ゲート速度だけでもないなら、何を見るのか。

幅は「入る仕事」、深さは「続けられる仕事」、速さは「終わる時間」。速さの時計は複数ある。『論理ビットを作った』には段階がある。エラー率 10⁻⁶ は 100 万回の確実成功ではない。ポストセレクションは工場なら合理、計算本体のやり直しなら高い。

04幅・深さ・速さ

サイト見立て

幅は同時に保持・操作できる規模(入る仕事)。深さは前の結果を待って進む段数(続けられる仕事)。速さは同じ精度で解くまでの時間(終わる時間)。量子ビットが 400 倍あるから答えも 400 倍速い、とは限らない。

総ゲート数は深さではない。100 個を並列に実行できる回路と、100 個を順番に実行する回路では、総数が同じでも所要時間が違う。最終指標は同じ問題・同じ精度・同じ成功確率での時間と費用。

続編 1 · 幅・深さ・速さ・コスト
幅は机。深さは段。速さは時計が複数。サイト見立て幅・深さ・速さ

総ゲート数は深さではない。100 個を並列に実行できる回路と、100 個を順番に実行する回路では、総数が同じでも所要時間が違う。最終指標は同じ問題・同じ精度・同じ成功確率での時間と費用。

05論理ビットの 5 段階

サイト見立て

『論理ビットを作った』には段階がある。誤りを検出して捨てる、訂正しながら保存する、訂正を繰り返しながら論理演算する、普遍演算を長時間続ける、商用の問題を割安に解く。これらは同じ達成ではない。

Helios の大きな論理ビット数と、少数の論理ビットで高品質な演算を調べる Helix 実験は、違う符号・違う目的。『98 物理で 50 論理だから、1 万物理なら約 5 千論理』という外挿はできない。

『論理ビットを作った』には、5段階ある。サイト見立て論理ビットの 5 段階

Helios の大きな論理ビット数と、少数の論理ビットで高品質な演算を調べる Helix 実験は、違う符号・違う目的。『98 物理で 50 論理だから、1 万物理なら約 5 千論理』という外挿はできない。

06エラー率の読み方

サイト見立て

各演算が独立に確率 p で致命的な誤りを起こすと仮定すると、N 回すべて無誤りの確率はおよそ exp(−N×p)。p=10⁻⁶、N=100 万なら約 37%。『100 万分の 1 だから 100 万回は確実』ではない。

この式は製品評価の精密モデルではなく、桁を読む教材。誤りの相関、論理操作の種類、許容誤差、再試行方式で変わる。メモリー誤りが低くても、非 Clifford や補助資源が律速になり得る。

10⁻⁶ でも、100万回は確実ではない。サイト見立てエラー率の読み方

この式は製品評価の精密モデルではなく、桁を読む教材。誤りの相関、論理操作の種類、許容誤差、再試行方式で変わる。メモリー誤りが低くても、非 Clifford や補助資源が律速になり得る。

07ポストセレクション

サイト見立て

成功した試行だけを残す処理は、一律に無価値ではない。補助状態の工場で不良品を捨てるのは合理的な設計になり得る。問題は、データ本体の計算まで頻繁にやり直す必要があるか、棄却率を含めても時間内に答えが出るか。

Quantinuum Helix が重要なのは、論理演算の数字がポストセレクションなしであること。工場の選別と、計算本体の選別を混ぜて評価しない。

工場で捨てるのと、計算をやり直すのは別。サイト見立てポストセレクション

Quantinuum Helix が重要なのは、論理演算の数字がポストセレクションなしであること。工場の選別と、計算本体の選別を混ぜて評価しない。

第3章

IonQ を、同じ厳しさで点検する

IonQ 自身は、いま何を証明し、何をまだ証明していないのか。

強みは高品質なイオン操作、Oxford Ionics の電子制御、SkyWater の製造、Walking Cat の設計。Superion 発表が確認するのは 256 ビット向けチップ製造とプロトタイプでの最初の捕獲であり、256 全体の論理計算ではない。同じ 110 論理でも T ゲート供給は約 10 倍違い得る。80,000 論理は約束された資産ではない。

08Superion 256 の内訳

確認済み

2026 年 9 月 8 日の Superion 発表が確認するのは、256 ビット向けチップの製造と、プロトタイプでの最初のイオン捕獲である。256 個全体の並列ゲート精度、論理演算、長時間稼働を実証したことではない。

顧客向け Superion 256 は 2027 年。実験室のフォールトトレラント計算と商用製造は別段階。Tempo 上の qLDPC breakeven は会社報告として確認するが、他社と同条件の論理ゲート誤り率・周期・棄却率までは本稿ではそろえていない。

IonQ Superion 発表(2026.09.08)
製造と捕獲は前進。256の論理計算ではない。確認済みSuperion 256 の内訳

顧客向け Superion 256 は 2027 年。実験室のフォールトトレラント計算と商用製造は別段階。Tempo 上の qLDPC breakeven は会社報告として確認するが、他社と同条件の論理ゲート誤り率・周期・棄却率までは本稿ではそろえていない。

09公式ロードマップ

公式目標

IonQ の論理ビット目標は、2027 年 800、2028 年 1,600、2029 年 8,000、2030 年 80,000。いずれも会社ロードマップであり、現時点の実測性能ではない。単一システム、単一チップ、複数モジュールは別概念。

『Logical error state』という表現は、他社の論理ゲート誤り率と測定対象をそろえてから比べる。200 万物理ビットが一枚のチップで完成すると、この表から断定しない。

IonQ Quantum computing roadmap
80,000論理は、約束された資産ではない。公式目標公式ロードマップ

『Logical error state』という表現は、他社の論理ゲート誤り率と測定対象をそろえてから比べる。200 万物理ビットが一枚のチップで完成すると、この表から断定しない。

10同じ 110 論理で 10 倍

サイト見立て

Walking Cat の設計例では、同じ 110 論理ビットでも、2,514 物理なら 100 万 T ゲート/日、5,475 物理なら 1,050 万 T ゲート/日。机の数が同じでも、難しい演算の材料工場へ装置を回せば供給量が変わる。

実機測定ではなく、所定の雑音モデルと操作速度を置いた資源見積もり。物理操作 200 µs、輸送 10 µs、訂正一巡約 6 ms も設計仮定。Google の表面符号周期と割り算して『何千倍遅い』と結論づけない。

Walking Cat の記事
机が同じでも、工場の配分で処理量は10倍。サイト見立て同じ 110 論理で 10 倍

実機測定ではなく、所定の雑音モデルと操作速度を置いた資源見積もり。物理操作 200 µs、輸送 10 µs、訂正一巡約 6 ms も設計仮定。Google の表面符号周期と割り算して『何千倍遅い』と結論づけない。

11本当に残る関門

サイト見立て

最大の関門は、個々の部品が良いことではなく、多数のイオンを動かし、冷やし、測り、訂正し、同時に演算しても、速度と精度が同時に保たれること。

Walking Cat がこれらをモデル化している点は前進だが、統合機の実測による裏づけが必要。次の証拠は Superion の全体動作を伴う論理計算の精度・速度・稼働率。

  • 統合の関門

    多数のイオンを動かし、冷やし、測り、訂正し、同時に演算しても、速度と精度が同時に保たれること。部品が良いだけでは足りない。

  • 並列で落ちないか

    高密度制御が進んでも、並列駆動で精度が落ちる、測定待ちが長い、輸送で余計な冷却が要る、が残れば有効な処理量は伸びない。

  • 工場は排他障壁ではない

    製造の内製化は管理と改良速度の利点。競合も外部ファウンドリを使える。買収統合と設備負担も両方見る。

第4章

最優先の 4 方向

IonQ の『質・幅・製造』を、誰がどの向きから検証させるのか。

Quantinuum は同じイオンで、ポストセレクションなしの論理演算を実験している。IBM は少ない論理で深い計算を取る。Google は閾値以下の誤り訂正を査読論文で示した。QuEra は『原子を並べただけ』ではなくなっている。幅の不足は速度では埋まらない。

12Quantinuum Helix

確認済み

Helios 上の Helix 実験は、反復訂正のメモリー誤り約 4.6×10⁻⁵/論理ビット/周期、2 論理ビット Clifford の誤り約 2.8×10⁻⁴。誤差幅はあるが、ポストセレクションなし。同じイオン方式で、IonQ の質・幅・製造を最も直接に検証させる相手。

数十億回の普遍計算ができた意味ではない。Helios は 98 物理、平均 2 ビットゲート忠実度 99.921%。Sol は 2027 年約 100 論理、Apollo は 2029 年数百論理という将来目標。2026 年 9 月 8 日に CHIPS R&D 1 億ドルが確定。

Helix プレプリント arXiv:2609.03194
選別なしの論理演算。同じイオンの最優先競合。確認済みQuantinuum Helix

数十億回の普遍計算ができた意味ではない。Helios は 98 物理、平均 2 ビットゲート忠実度 99.921%。Sol は 2027 年約 100 論理、Apollo は 2029 年数百論理という将来目標。2026 年 9 月 8 日に CHIPS R&D 1 億ドルが確定。

13IBM Starling

公式目標

IBM の中心目標は 2029 年 Starling で 200 論理ビット・1 億ゲート。論理個数だけでは IonQ より小さく見えるが、何回の計算を通せるかを明示した設計。幅の不足は速度だけでは解消しない。

2033 年以降に 2,000 ビット・10 億ゲートの Blue Jay。2026 年 8 月のモジュール型極低温接続は実装の前進だが、低誤り率の量子リンクでフォールトトレラント計算をつないだことではない。5 年間で 100 億ドル超の投資計画は体力の指標で、成功確率そのものではない。

IBM Quantum Roadmap
少ない論理でも、深い仕事を先に取れる。公式目標IBM Starling

2033 年以降に 2,000 ビット・10 億ゲートの Blue Jay。2026 年 8 月のモジュール型極低温接続は実装の前進だが、低誤り率の量子リンクでフォールトトレラント計算をつないだことではない。5 年間で 100 億ドル超の投資計画は体力の指標で、成功確率そのものではない。

14Google Willow

確認済み

Willow は符号を大きくすると誤りが減る、閾値以下の誤り訂正を実証した。距離 7 で 101 物理、論理誤り約 0.143%/訂正周期。別の距離 5 ではリアルタイム復号を伴う最長 100 万周期のメモリー実験。100 万周期の保存と 100 万回の有用な論理演算は同じではない。

訂正周期約 1.1 µs、復号の平均遅延約 63 µs。『周期より復号が遅いから動かない』も単純すぎる。流れ作業で処理できる部分と、結果を待たねば進めない操作を分ける。1.1 µs だけで IonQ より有用計算が何千倍速いと断定しない。2026 年 3 月には中性原子の研究開発も公表。

Nature — below threshold(2024.12.09)
100万周期の記憶は、100万回の計算ではない。確認済みGoogle Willow

訂正周期約 1.1 µs、復号の平均遅延約 63 µs。『周期より復号が遅いから動かない』も単純すぎる。流れ作業で処理できる部分と、結果を待たねば進めない操作を分ける。1.1 µs だけで IonQ より有用計算が何千倍速いと断定しない。2026 年 3 月には中性原子の研究開発も公表。

15QuEra 448

確認済み

2025 年 11 月の Harvard・MIT・QuEra などの Nature 論文は、最大 448 原子で反復訂正、論理的な絡み合い、普遍計算に必要な操作、途中測定と再利用を研究した。『原子を多く並べただけ』ではない。ただし 2028 年 Libra の仕様を全体として達成したことでもない。

限定 4 巡の評価回路で、符号を大きくすると誤りが約 2.14 倍抑制。3,000 個以上の原子を 2 時間以上維持し供給する実験は、3,000 論理ビットの長時間アルゴリズムではない。Libra は 2028 年、256 超の訂正された論理、目標誤り 10⁻⁶、100 万回規模の論理演算。

Nature — fault-tolerant neutral-atom(2025.11.10)
原子を並べただけ、ではない。Libra全体でもない。確認済みQuEra 448

限定 4 巡の評価回路で、符号を大きくすると誤りが約 2.14 倍抑制。3,000 個以上の原子を 2 時間以上維持し供給する実験は、3,000 論理ビットの長時間アルゴリズムではない。Libra は 2028 年、256 超の訂正された論理、目標誤り 10⁻⁶、100 万回規模の論理演算。

第5章

条件付きの数字と、実証の台帳

高い数字は、何を条件にしているのか。実験は、何をまだ言っていないのか。

PsiQuantum の高忠実度は光子検出が条件。Aurora は配管の縮尺模型で閾値未達。Diraq の 99% は素子。Microsoft の 20 秒はパリティ寿命。会社目標の個数順ランキングは使わない。QBI は入口であり、勝者選抜大会ではない。

16条件付きの 4 数字

サイト見立て

高い数字は、測った量の条件を外すと別物になる。PsiQuantum の高忠実度は光子が検出された条件。Aurora の 1 MHz と大量モードは縮尺模型。Diraq の 99% 超は産業製造と両立する素子。Microsoft の約 20 秒はパリティ寿命。

いずれも前進だが、完成した FTQC や普遍的な論理ゲートの実証として横並びにしない。成功時の影響は大きいので、条件付きの上振れとして監視する。

高い数字は、条件を外すと別物。サイト見立て条件付きの 4 数字

いずれも前進だが、完成した FTQC や普遍的な論理ゲートの実証として横並びにしない。成功時の影響は大きいので、条件付きの上振れとして監視する。

17実証台帳

確認済み

この表は同じ試験の勝敗ではない。各実験が『どの能力を確かめたか』を並べる台帳である。メモリー誤り率、論理ゲート誤り率、物理ゲート忠実度を一列の大小で順位づけしない。

プレプリントは査読前。企業発表は会社開示。『本稿では確認できない』は『世界に存在しない』ではない。

実験の勝敗表ではない。何を確かめたかの台帳。確認済み実証台帳

プレプリントは査読前。企業発表は会社開示。『本稿では確認できない』は『世界に存在しない』ではない。

18目標の横並び

公式目標

会社目標の論理ビット数を、個数順のランキングに使わない。同じ『論理ビット』でも符号・用途・精度が違う。空欄を推定で埋めない。非公表はゼロではなく、非公表のまま残す。

IonQ 80,000(2030)、Quantinuum Apollo 数百(2029)、IBM Starling 200(2029)、QuEra Libra 256 超(2028)、Xanadu 500(2030)・1,000 超(2031)、Diraq 1,000(2029)・1 万超(2031)。Google と Microsoft 独自は同条件の個数では置かない。

目標の個数は、ランキングに使わない。公式目標目標の横並び

IonQ 80,000(2030)、Quantinuum Apollo 数百(2029)、IBM Starling 200(2029)、QuEra Libra 256 超(2028)、Xanadu 500(2030)・1,000 超(2031)、Diraq 1,000(2029)・1 万超(2031)。Google と Microsoft 独自は同条件の個数では置かない。

19QBI は入口

確認済み

DARPA QBI は、2033 年までに価値がコストを上回る utility-scale へ到達できるかをシステム全体で検証する取り組み。Stage A は構想、B は計画とリスク、C は独立検証。開始時期が違い、DARPA 自身も企業間の勝者選抜大会とはしていない。

2025 年 11 月の Stage B は 11 社。Microsoft と PsiQuantum は先行 US2QC から C と同じ技術目標の検証へ。IonQ の C 移行は肯定材料になり得るが、発表が遅いだけで劣るとは言わない。観測対象を QBI だけに閉じない。

DARPA QBI Stage B
QBIは入口。勝敗大会ではない。確認済みQBI は入口

2025 年 11 月の Stage B は 11 社。Microsoft と PsiQuantum は先行 US2QC から C と同じ技術目標の検証へ。IonQ の C 移行は肯定材料になり得るが、発表が遅いだけで劣るとは言わない。観測対象を QBI だけに閉じない。

第6章

用途で読み替え、製造で独占しない

同じ問題なら、幅と速さのどちらが勝つのか。工場を持つことは排他的か。

問題が 200 ビットに収まるなら時間と費用で比べる。500 ビットが不可欠なら 200 ビット機はそのままでは実行できない。独立した仕事は複数台に分散できるが、巨大な絡み合いは普通のネットワークでは一台にならない。SkyWater は武器だが、GlobalFoundries の CHIPS 支援は複数方式向けで、内製だけが道ではない。

20A 機と B 機

サイト見立て

同じ問題を同じ成功確率で解くのに、A 機は 1,000 論理ビット・10 時間、B 機は 200 論理ビット・1 時間とする。問題が 200 ビットに収まるなら時間・費用・稼働率で比べる。問題に 500 ビットが不可欠なら、B 機はそのままでは実行できない。

説明用の対比であり、実機ベンチマークではない。この両方が分かれば、『幅か速さか』という単純な二択から抜けられる。独立した仕事は複数台に分散できるが、巨大な絡み合った状態は普通のネットワークでは一台にならない。

200ビットに入る仕事と、500必要な仕事は別。サイト見立てA 機と B 機

説明用の対比であり、実機ベンチマークではない。この両方が分かれば、『幅か速さか』という単純な二択から抜けられる。独立した仕事は複数台に分散できるが、巨大な絡み合った状態は普通のネットワークでは一台にならない。

21仕事の形

サイト見立て

顧客の仕事の形によって、有利な設計が変わる。幅が数百以下で逐次が非常に長い仕事、数千〜数万の作業ビットが要る仕事、特定の物理に合うシミュレーション、多数の独立回路、分散接続、設置制約。IonQ の巨大な幅が初期市場の獲得につながらない可能性もある。

設計原理に基づく分析であり、現時点の全社共通ベンチマークではない。AI 需要をそのまま量子需要に置き換えない。

仕事の形が変わると、有利な機械も変わる。サイト見立て仕事の形

設計原理に基づく分析であり、現時点の全社共通ベンチマークではない。AI 需要をそのまま量子需要に置き換えない。

22製造は唯一の道ではない

サイト見立て

IonQ の垂直統合(SkyWater)は、設計変更と工程の優先順位を直接管理しやすくする武器。ただし競合も外部ファウンドリを使える。2026 年 9 月の GlobalFoundries 向け最大 3.75 億ドルの CHIPS R&D は、複数の量子方式に対応する国内製造基盤が目的。

Quantinuum は GlobalFoundries と Monarch Quantum、PsiQuantum も 300 mm 製造。勝敗はウェハー径や提携社名ではなく、歩留まり、性能分布、調整時間、納期、稼働率、製品当たり原価。歩留まりが非公開なら非公開として残す。

工場を持つことは、排他的な参入障壁ではない。サイト見立て製造は唯一の道ではない

Quantinuum は GlobalFoundries と Monarch Quantum、PsiQuantum も 300 mm 製造。勝敗はウェハー径や提携社名ではなく、歩留まり、性能分布、調整時間、納期、稼働率、製品当たり原価。歩留まりが非公開なら非公開として残す。

第7章

10 倍・100 倍と、評価を変える条件

技術が成功しても、株価 10 倍は自動か。100 倍は何が要るか。

株価倍率=時価総額倍率÷発行株数の倍率。説明用に時価総額 150 億ドルを置く。10 倍は否定しないが、有力企業として生き残るだけでは足りない。100 倍は技術成功だけでは説明しづらい極端な上振れ。主役以外も競争条件を変える。覚えておく順は、入るか → 続くか → いつ終わるか → いくらか → 利益は誰に残るか。

2310 倍と 100 倍の逆算

サイト見立て

説明用の基準時価総額を 150 億ドルとする(2026 年 9 月 10 日付近の約 146 億ドルを丸めた)。株価倍率=時価総額倍率÷発行株数の倍率。株数が 50% 増えると、時価総額 10 倍でも株価は約 6.7 倍。

売上 15 倍評価は感度分析の仮定。10 倍かつ株数 +50% なら必要年商 150 億ドル前後。McKinsey の 2035 年量子コンピューティング市場は 430〜710 億ドル。年商 150 億ドルは量子計算だけで稼ぐなら約 21〜35%。100 倍は技術成功だけでは説明しづらい極端な上振れ。確率の精密数字は付けない。

10倍は否定しない。100倍は技術だけでは足りない。サイト見立て10 倍と 100 倍の逆算

売上 15 倍評価は感度分析の仮定。10 倍かつ株数 +50% なら必要年商 150 億ドル前後。McKinsey の 2035 年量子コンピューティング市場は 430〜710 億ドル。年商 150 億ドルは量子計算だけで稼ぐなら約 21〜35%。100 倍は技術成功だけでは説明しづらい極端な上振れ。確率の精密数字は付けない。

24評価を変える条件

サイト見立て

次に IonQ へ有利な更新は、多数の作業ビットで訂正・普遍操作・実時間のデータが出ること。警戒すべきは、物理ビット数や最高忠実度だけ増え、統合データが出ないこと。

将来公表されると予言する項目ではなく、発表が出た際に評価を更新するための観測条件。

物理ビットが増えても、統合データが無ければ評価は動かない。サイト見立て評価を変える条件

将来公表されると予言する項目ではなく、発表が出た際に評価を更新するための観測条件。

25主役以外

サイト見立て

主役以外も、競争条件を変える。同じイオン、誤り訂正の負担を小さくする符号、シリコンとネットワーク、上場銘柄、初期市場と隣接市場。QBI の名簿にない企業を一律に無視しない。

『多数の 2 ビット操作に相当する一手』は用途での等価性であり、どんな計算も一律に何千倍高速という意味ではない。

  • Quantum Art

    イオントラップ

    同じイオン。複数量子ビットへまとめて作用し、回路を短くする構想。IonQ 対 Quantinuum だけではイオン競争を網羅しない。

  • Alice & Bob

    cat qubit

    18 cat qubit の Helium は、最初の論理ビットを符号化するためのシステム。『18 高品質論理』へ飛ばない。

  • Nord Quantique

    bosonic

    『1 physical : 1 logical』は二準位の一対一置き換えではない。振動子の多くの状態を使う符号化。

  • Quantum Motion

    シリコン CMOS

    産業 CMOS のフルスタック。部品コストに加え、制御・調整・低温が現実的な規模に収まるかを見る。

  • SQC

    シリコン

    電子と核スピンの 11 ビット。最良の 2 ビット忠実度だけでなく、レジスター間の絡み合いの難しさまで見る。

  • Photonic Inc.

    スピン–光子

    シリコンのスピンと光接続。30 km テレポーテーションは網の技術。分散計算には高品質な絡み合いの供給レートが要る。

  • Rigetti

    超伝導

    108 ビットは複数の 9 ビットチップレット。少数での最高精度と、全系の中央値を混ぜない。

  • D-Wave

    アニーリング+ゲート

    アニーリングだけの会社、は更新が必要。ゲート方式の計画もある。アニーリングの物理数を論理数に加算しない。

  • Infleqtion

    中性原子

    中性原子計算に加えセンシング。政府・計測需要で IonQ と重なる。少数デモを大規模論理と混同しない。

  • Pasqal

    中性原子

    論理符号化が物理ビット実行を上回った例。最良の古典計算を経済的に上回ったこととは違う。

  • NTT / OptQC

    光

    2030 年度に 100 万量子ビット級の光方式 FTQC。100 万を 100 万論理と読み替えない。

  • QuantinuumHelix 系の低い誤りを、より多数の論理と非 Clifford へ。Sol の全体動作と製造の再現性
  • IBMメモリー訂正だけでなく、幅のある論理演算を深く高速に。モジュール接続込み
  • Google Quantum AI保護された実際の論理ゲートと、使える幅の拡大。中性原子側の進捗
  • QuEra損失を補いつつ長時間運転し、大きい符号ほど実際に良くなるか
  • Atom Computing短い実験の訂正効果を、深く大きい論理計算へ伸ばせるか
  • PsiQuantum総損失で閾値を越え、成功した論理演算を何回/秒で供給できるか
  • Xanadu誤り抑制を伴う論理演算の実時間と、成功 1 回当たりの資源量
  • Diraq広いチップでの再現性、校正時間、低温制御を含む論理計算
  • Microsoft長いパリティ寿命から、保護された操作・読出し・複数素子へ

2614 の結論

サイト見立て

独走を前提にせず、用途ごとの相対性能と採算を検証する段階に入った。

最も妥当な見方は『IonQ の失敗が見えた』でも『やはり独走確定』でもない。

  1. IonQ は有力候補として残す合理性がある。製造・制御・QEC・事業展開をまとめようとする設計は具体的。
  2. 『市場支配が最も自然』とは、いまの公開証拠からは言えない。独走仮説は外す。
  3. 幅は入場券、深さは続けられる手数、速さは複数の時計。最終は同じ問題の時間と費用。
  4. 『論理ビットを作った』には 5 段階ある。個数を同一品質の商品数として扱わない。
  5. エラー率 10⁻⁶ は 100 万回の確実成功ではない。桁を読む教材として exp(−N×p) を使う。
  6. Superion の製造と捕獲は本物の前進。256 全体の論理計算の実証ではない。
  7. 同じ 110 論理でも、工場へ回す装置で T ゲート供給は約 10 倍違い得る。
  8. Quantinuum はポストセレクションなしの論理演算。同じイオンの最優先競合。
  9. IBM / Google は少ない論理でも、深く速い仕事を先に取り得る。幅の不足は速度で埋まらない。
  10. QuEra は並べただけではない。Atom の長時間 QEC も並べて追う。
  11. 光・シリコン・トポロジカルは条件付きの破壊力。測った量の意味を変えない。
  12. SkyWater は武器だが唯一の道ではない。QBI は入口であり、勝敗大会ではない。
  13. 10 倍は否定しないが生き残るだけでは足りない。100 倍は技術成功だけでは説明しづらい。
  14. 覚えておく順は、入るか → 続くか → いつ終わるか → いくらか → 利益は誰に残るか。

入るか → 正しく続くか → いつ終わるか → いくらかかるか → 利益は誰に残るか。覚えておく順番

独走を前提にせず、用途ごとの相対性能と採算を検証する。本記事の中心命題

—主張の境界

主張する・主張しない・まだ未確認を、分けて書く。

ロードマップの数値は各社の目標。実験の到達点は各社の章と実証台帳で別に扱う。

主張する
IonQ は有力候補。ただし独走は最も自然な帰結ではない。Quantinuum・IBM・Google・QuEra が違う方向から有望な計算を取りに来る。比較は幅・深さ・速さ・費用。論理個数は同一品質ではない。実証と目標を同じ机に置く。
主張しない
IonQ だけが論理ビットを大量に増やせる。80,000 論理は約束された資産。QBI の段階=技術順位。Superion 製造=256 の論理計算。論理個数の個数順ランキング。エラー率の逆数が成功手数。10 倍 20〜30%、100 倍 1〜3% といった精密確率。AI 需要=量子需要。
まだ未確認
Superion 全 256 の並列精度と論理演算。IonQ の qLDPC breakeven を他社と同条件でそろえた数値。Sol / Apollo・Starling・Libra の全体動作。光・シリコンの閾値突破。Microsoft 独自の保護された論理ゲート。歩留まりと成功した仕事 1 件の原価。

—一次情報

本記事の数値・日付は、以下の公式発表・論文に基づく。

リンク先の内容が更新された場合は、本記事の記述より一次情報を優先してください。分析基準日は 2026 年 9 月 12 日。

編集方針

会社の目標は「信じる数字」ではなく「公開テスト」として使う。

実証とロードマップを同じ机に置き、測った量の意味を変えない。IonQ に強気でも忠誠心は持たない。空欄を推定で埋めない。精密な成功確率は、母集団がない限り付けない。

編集方針・免責事項