量子競争マップ入口 · 図版集 · 更新 2026.09.26
論理量子ビット競争を、 図で完全に理解する。数ではなく、段で見る。9 社の現在地を 1 枚で。
まず 4 つだけ
量子ビットは壊れやすい。束ねて直す。『捨てる』と『直す』は別物。だから段で見る。
総覧サイト見立て
しきい値を越えたのは Google・QuEra・USTC。論理演算まで来たのは Quantinuum・QuEra。大きな数の多くは 1 段目。
- 読み方
- ①横 1 行 = 1 社。左端に『ひとことで』
- ②左から右へ 0→5 段。色が塗られた所まで実機で示した
- ③斜線は『一部だけ』。右の 2 列は次の目標と株
つまり色が右まで伸びているほど先頭。5 段目まで塗れた会社は、まだない。
- 論理量子ビット
- 壊れやすい物理量子ビットを何個も束ねて作る、壊れにくい 1 個の量子ビット
- しきい値越え
- 束を大きくするほど論理エラーが減る状態。ここを越えて初めて『大きくすれば良くなる』
- Λ(ラムダ)
- 束(符号)を 1 段大きくしたとき、エラーが何分の 1 になるか。2 なら半分
- d(符号距離)
- 束の大きさ。d=3→5→7 と大きくするほど、多くのエラーを直せる
- 事後選択
- エラーが見つかった回の結果を捨て、残りだけ使うこと。数を大きく見せやすい
見出しの分解サイト見立て
同じ『論理○個』でも、5 つの質問で段が決まる。
- 読み方
- ①1 行 = 実際のニュース 1 本
- ②Q1〜Q5 に ✓ が並ぶほど、質の高い成果
- ③右端が、その成果の段
つまりIBM 70・Infleqtion 30 は Q1・Q2 が ✗ = 結果を捨てる『検出』の段。数は大きいが段は低い。
- 事後選択
- エラーが見つかった回の結果を捨て、残りだけ使うこと。数を大きく見せやすい
- リアルタイム復号
- エラーの場所を計算しながら、その場で推理して直すこと
- Clifford / T
- 論理演算の種類。Clifford だけでは万能にならず、T(マジックステート)が要る
数と段サイト見立て
見出しの数が大きいほど、段は低い。数と段は別の軸。
- 読み方
- ①横 = ニュースの『論理○個』の数(右ほど大きい)
- ②縦 = はしごの段(上ほど質が高い)
- ③点 1 つ = 実験 1 つ
つまり右下(数が大きく段が低い)と左上(数が小さく段が高い)に分かれる。数だけ見ると逆に読んでしまう。
6 段の定義サイト見立て
論理量子ビットには 6 段ある。5 段目(実用)には、まだ誰もいない。
- 読み方
- ①下から上へ、0 段 → 5 段
- ②○ はできること、『まだ』はできないこと
- ③右端の黒いタグが、いまその段にいる会社
つまり1 段目(捨てる)と 2 段目(直せる)の間に大きな壁がある。5 段目にはまだ誰もいない。
- マジックステート
- 万能な計算に必要な特別な状態。作るのが難しく、工場のように量産する
- ブレークイーブン
- 論理量子ビットが、物理量子ビットと同じくらいもつ状態。訂正の入口
Clifford と Tサイト見立て
論理 Clifford だけでは、普通のコンピュータでまねできる。T ゲートが入って初めて万能になる。
- 読み方
- ①左 = Clifford(H・S・CNOT)。誤り訂正と相性がよく作りやすい
- ②中 = T ゲート。質の悪い『魔法の状態』を工場で磨いて 1 個作る
- ③右 = 各社がどこまで来たか
つまり3 段目(Clifford まで)と 4 段目(T まで)の間が、実用への最大の関門。実用計算の時間の多くは T の供給量で決まる。
- Clifford / T
- 論理演算の種類。Clifford だけでは万能にならず、T(マジックステート)が要る
- マジックステート
- 万能な計算に必要な特別な状態。作るのが難しく、工場のように量産する
- T 工場
- マジックステートを量産する仕組み。生産量が計算の速さを決める
IonQ 分解図サイト見立て
IonQ は方式転換の途中。いまの実証は旧世代 Tempo、2027 年からは Superion で測り直し。
- 読み方
- ①上 = 世代の流れ。Tempo(いま)→ Walking Cat(設計書)→ Superion(新しい機械)
- ②左下 = 強み、中下 = Tempo での実験
- ③右下 = 足りない所と、Superion で見る証拠
つまりゲートの制御方式がレーザーからチップ上の電子制御(EQC)に変わる。Tempo の成績は Superion の成績をそのまま示さないので、2027 年以降は新しい機械で段を測り直す。
- Tempo
- IonQ の現行の商用機(バリウムイオン、ゲートはレーザーで制御)。2026.09 の訂正実験はこの世代
- Walking Cat
- IonQ が 2026.04 に出した誤り耐性機の設計書。論理層を『メモリー・魔法工場・キャット工場・ベル工場』に分け、イオンを歩かせてつなぐ
- Superion
- IonQ の新しい製品ライン(2026.09 発表)。Oxford Ionics の電子制御チップを SkyWater の工場で作る。256 は 2027 年納入、次は 1 万
- EQC
- Electronic Qubit Control。レーザーの代わりにチップ上の電極と電波で量子ビットを操作する(Oxford Ionics の技術)
- qLDPC
- 少ない物理量子ビットで論理量子ビットを作れる符号。IBM・IonQ が採用
- ブレークイーブン
- 論理量子ビットが、物理量子ビットと同じくらいもつ状態。訂正の入口
目標レース公式目標
2027 年に 3 社の山場。2030 年の IonQ 8 万は桁が違う。
- 読み方
- ①横 1 行 = 1 社。左の色つき数字が『いまの段』
- ②枠の数字 = その年の論理量子ビットの公式目標
- ③緑の帯 = 最初のゴール(論理 100・10⁻⁶)を争う 2027〜2028 年
数字は論理量子ビットの公式目標。会社ごとに定義とエラー率が違う。すべて未達成。
つまりいまの段が低いのに目標が大きい会社ほど、実行リスクが大きい。目標の数は会社ごとに定義が違う。
ゴールと物差しサイト見立て
最初のゴールは論理 100・10⁻⁶。最後の物差しは、答えが出るまでの時間。
- 読み方
- ①左 = 業界の最初のゴール
- ②中 = 『エラー 100 万回に 1 回』でも 100 万回動かすと 37% しか完走しない
- ③右 = 最後の物差しと、暗号の見積もりの変化
つまりゴールは数ではなく『時間内に正しく答えが出るか』。暗号を解く見積もりは 6 年で 20 分の 1 以下に下がった。
- 10⁻⁶
- 100 万回に 1 回のエラー。実用の最初の目安
- T 工場
- マジックステートを量産する仕組み。生産量が計算の速さを決める
株の地図サイト見立て
量子株は 6 グループ。専業ほど、量子の成否が株価に直結する。
- 読み方
- ①左上 = 量子だけの会社(上場)
- ②右上 = 量子は一部の大手
- ③左下 = 未上場(個人は買えない)
つまり同じ『量子株』でも、左上ほど量子のニュースで株価が大きく動く。
売上の何倍かサイト見立て
時価総額は年売上の約 30〜540 倍。完成後の価値を先取りしている。
- 読み方
- ①白丸 = 年の売上、塗りの丸 = 時価総額(会社の値段)
- ②横軸は 10 倍ごとの目盛り。線が長いほど差が大きい
- ③右端 = 値段が売上の何倍か
年売上(見通し/直近を年換算)IonQ の SkyWater を除いた売上時価総額(2026.09 中旬)倍率はサイトの概算。株価は日々動く
つまりどの会社も値段が売上の数十〜数百倍。今の売上ではなく、将来の完成に値段がついている。
4 つの物差し確認済み
株数は 1 年で 3〜7 割増。売上の中身・政府・値動きも一緒に見る。
- 読み方
- ①A 株の数が増えると 1 株の取り分が薄まる
- ②B 売上に量子以外(買収した工場)が混ざる
- ③C・D 政府の選定とニュースで株価が大きく動く
つまり技術の段と一緒に、この 4 つを見る。1 年の騰落は主要 4 銘柄とも −36〜−57%。
- 希薄化
- 株の数が増え、1 株あたりの取り分が薄まること
- CHIPS
- 米商務省の半導体・先端技術への出資。量子 9 社に約 20 億ドル(意向表明)
- DARPA QBI
- 米国防総省の研究機関の計画。2033 年までに実用機ができるかを会社ごとに検証
チェックと暦サイト見立て
次の山場は 2026.11 の IBM Kookaburra。2027 年に Sol・Magne・Superion。
- 読み方
- ①上 = 技術・事業・赤信号のチェック
- ②下 = 年表。点が線に近いほど近い予定
- ③『いま』から右へ読む
つまり次の答え合わせは 2026 年 11 月の IBM、2027 年に 3 社が重なる。
AI と量子サイト見立て
AI が候補を出し、量子が確かめ、現実で試す。3 つは別の段階。
- 読み方
- ①左上から時計回りに 1 周
- ②真ん中 = 量子の役割
- ③右 = 量子にできないこと/AI がすでに助けていること
つまり量子は AI を直接速くする装置ではない。AI の出した候補を、自然の法則で確かめる装置。
動画版 · 22:01
同じ内容を、22 分の絵本で。
- 0:00オープニング図 ↑
- 0:45なぜ世界は競争しているのか
- 1:26量子ビットはシャボン玉
- 2:14論理量子ビットとしきい値図 ↑
- 3:34誤り訂正の設計図
- 5:086つの方式
- 6:21どうやって大きくするか
- 7:10品質のはしご図 ↑
- 8:11超伝導:Google と IBM図 ↑
- 9:30Quantinuum(QNT)図 ↑
- 10:45QuEra と中性原子図 ↑
- 11:54チェックポイント:IonQ図 ↑
- 13:22はしごに並べる+目標レース図 ↑
- 15:08本当の物差し図 ↑
- 16:03投資家の地図図 ↑
- 17:03量子株の数字の読み方図 ↑
- 18:27チェックリストと注目カレンダー図 ↑
- 20:05AIと量子の合流図 ↑
- 21:06まとめ図 ↑
—主張の境界
確認済み・公式目標・見立て・未確認を分けている。
- 確認済み
- 論文・発表にある実機結果、決算と上場の事実。
- 公式目標
- 2026〜2033 の各社ロードマップ。未達成で、定義とエラー率は会社ごとに違う。
- サイト見立て
- 6 段のはしごと段の割り当て、売上倍率の概算(年換算・為替は目安)。1 本の論文で入れ替わる。
- 未確認
- 時価総額の合計、DARPA Stage C の時期。
—一次情報
数値・日付の出典。
分析基準日 2026 年 9 月 25 日。一次情報が更新されたら、そちらを優先。
- YouTube — 量子コンピュータ、本当の先頭はどこ?(ミライマネー研究所) ↗
- Google Willow — below the surface code threshold(Nature) ↗
- Quantinuum Helios(Nature) ↗
- Harvard / QuEra — below-threshold fault-tolerant architecture(Nature) ↗
- arXiv:2606.06455 — IonQ qLDPC 訂正のブレークイーブン ↗
- Infleqtion — 30 logical qubits on Sqale ↗
- IBM — Large-scale fault-tolerant quantum computing ↗
- IBM — 100 億ドル超の量子投資(2026.06.02) ↗
- IonQ — Roadmap ↗
- IonQ — 2026 年通期見通し(SkyWater 買収後) ↗
- IonQ — Q2 2026 決算 ↗
- Quantinuum — IPO の価格決定 ↗
- Quantinuum — Q2 2026 決算(SEC) ↗
- QuEra — 2028 年の誤り耐性機と AWS ↗
- Magne — 施設のマイルストーン(The Quantum Insider) ↗
- 米商務省 — 9 社・約 20 億ドルの出資の意向表明(NIST) ↗
- DARPA — QBI Stage B selection ↗
- McKinsey — Quantum Technology Monitor 2026 ↗
- CNBC — Huang 発言で量子株が急落(2025.01.08) ↗